世界には、絶滅寸前まで数を減らした巨大なカメがいます。
その名は、ヨウスコウスッポンです。
英語では「Yangtze giant softshell turtle」や「Swinhoe’s softshell turtle」と呼ばれ、学名は「Rafetus swinhoei」です。
かつては、中国の長江流域やベトナム北部の河川や湖などに生息していました。
しかし、開発による生息地の減少や乱獲などによって、その数は激減しました。
現在では、「世界で最も希少なカメ」と呼ばれるほど、絶滅の危機に直面しています。
確認されていた雌が亡くなりました
2019年、中国の蘇州動物園で飼育されていた雌のヨウスコウスッポンが亡くなりました。
その後、2020年には、ベトナムのドンモー湖で捕獲された個体が、遺伝子検査によって雌だと確認されました。
この発見によって、繁殖への希望が再び生まれました。
ところが、その雌も2023年に死亡しました。
これによって、確実に確認されていた雌はいなくなりました。
現在も生存が確実に確認されている個体は、きわめて限られています。
野生の湖や河川に、まだ確認されていない個体が残っている可能性はあります。
しかし、繁殖可能な雌が見つからなければ、種を未来へつなぐことは難しくなります。
状況は、きわめて厳しいです。
それでも、研究者や保護団体は調査をやめていません。
ベトナム北部の湖で監視を続け、生息の可能性がある場所を調べ、地域の人たちと協力しながら保護活動を続けています。
「まだ、どこかに生きているかもしれない」
その可能性が残されている限り、人々は探すことをやめないのです。
「少ない」ことは「価値がない」ことではありません
ぼくたちは、ときどき数で物事の価値を判断します。
フォロワーの数
「いいね」の数
売上の額
成績の順位
友達の人数
数字が大きい人は価値があり、数字が小さい人は価値がない。
そんな見方をしてしまうことがあります。
でも、ヨウスコウスッポンの存在を知ると、数と価値は同じではないことに気づかされます。
個体数が少ないからといって、その命の価値が小さくなるわけではありません。
むしろ、残された一匹の存在が、その種の歴史と未来を背負っています。
だからこそ、多くの研究者が時間をかけて調査を続けています。
地域の人たちも協力しています。
世界中の人々が、その命を守ろうとしています。
数が少ないことは、価値がないという意味ではありません。
「失ってしまえば、二度と取り戻せない」ということなのです。
教室にも目立たない子がいます
学校でも、数字や目立ち方で子どもを見てしまうことがあります。
テストで高い点を取る子。
発表をたくさんする子。
友達が多い子。
運動が得意な子。
そうした子は、大人の目にも入りやすいです。
一方で、教室には、あまり目立たない子もいます。
声が小さい子がいます。
自分から話しかけることが苦手な子もいます。
休み時間を一人で過ごしている子もいます。
学校へ来るだけで、精いっぱいの子もいます。
でも、目立たないからといって、その子の価値が小さいわけではありません。
発言が少なくても、周りをよく見ているかもしれません。
友達が少なくても、一人の友達を大切にしているかもしれません。
教室では静かでも、家では家族を笑わせているかもしれません。
大人からは見えにくいところで、誰かを支えていることもあります。
人の価値は、目立つかどうかでは決まりません。
何ができるかだけでも決まりません。
その人がそこにいること自体に、意味があります。
誰かの代わりになる必要はありません
ヨウスコウスッポンが絶滅しても、別のカメがいるから問題ない。
そう考えることはできません。
ヨウスコウスッポンには、ヨウスコウスッポンにしかない歴史、生態、役割があります。
別の種類のカメを連れてきても、代わりにはなりません。
人も同じです。
誰かより勉強ができる必要はありません。
誰かより人気者になる必要もありません。
誰かと同じように振る舞う必要もありません。
あなたには、あなたにしかない経験があります。
あなたにしか見えないものがあります。
あなたの言葉だから、届く人もいます。
学校や社会では、同じ基準で比べられることが多いです。
でも、人間は交換可能な部品ではありません。
あなたが誰かの代わりになる必要がないように、誰かがあなたの完全な代わりになることもできません。
希望とは楽観することではありません
ヨウスコウスッポンを取り巻く状況は、簡単ではありません。
「きっと大丈夫です」と、無責任に言える段階ではないでしょう。
明日、新しい個体が見つかる保証もありません。
繁殖が成功する保証もありません。
それでも、人々は調査を続けています。
ここに、希望の本当の姿があるように思います。
希望というのは、何もしなくてもよい結果が訪れると信じることではありません。
状況が厳しいと理解したうえで、それでも今日できることを続けることです。
湖を調査する。
水のなかに残された遺伝情報を調べる。
地域の人に協力を呼びかける。
生息地を守る。
次の可能性を探す。
一つひとつは、小さな行動です。
でも、その小さな行動をやめた瞬間、可能性は本当にゼロへ近づいてしまいます。
自分で自分の可能性を終わらせない
ぼくたちも、ときどき自分の未来を早く決めすぎます。
「自分には才能がない」
「もう失敗したから無理です」
「今まで変われなかったから、これからも変われません」
そうやって、自分で自分に結論を出してしまいます。
でも、まだ試していない方法があるかもしれません。
まだ出会っていない人がいるかもしれません。
今はできなくても、少しずつできるようになることがあるかもしれません。
現実から目をそらす必要はありません。
苦しいことを、無理に前向きに考える必要もありません。
ただ、自分で自分の可能性を終わらせないことです。
今日できる小さなことを、一つだけ続ける。
助けが必要なら、誰かに伝える。
うまくいかなければ、別の方法を探す。
その積み重ねが、次の一歩を残してくれます。
今日のかめ先生メモ
ヨウスコウスッポンは、世界で最も絶滅の危機にあるカメの一つです。
確認されている個体は、きわめてわずかです。
繁殖への道も、簡単ではありません。
それでも、研究者や地域の人々は、調査と保護を続けています。
「まだ、どこかにいるかもしれない」
その可能性を、自分たちの手で消さないためです。
人も同じです。
今、自信がなくても大丈夫です。
目立っていなくても大丈夫です。
人数や順位で、自分の価値を決める必要はありません。
あなたは、誰かの代わりではありません。
自分で自分の可能性を終わらせない限り、次の一歩は残されています。
小さくてもいいので、今日できることを一つ続けていきましょう。









はぁい