ある日、五年生で社会のテストをしました。
内容は、大陸や世界の国々についてです。
だいたい5時間から6時間くらい授業をしました。
授業の中で、テストに出るところも話しました。
大事な言葉も何度も確認しました。
テスト前には、プレプリントもしました。
テスト直前にも、
「ここはちゃんと見直してね」
と声をかけて、見直しの時間も取りました。
自分の中では、
「これはさすがに、平均90点くらいはいくだろう」
と思っていました。
もちろん、全員が100点を取るのは難しいです。
でも、これだけ確認して、これだけ繰り返して、これだけ準備したのだから、かなり取れるのではないか。
そう思っていました。
でも、結果を見ると、平均は70点台から80点台くらいでした。
100点を取る子もいます。
一方で、20点、30点、50点くらいの子もいます。
この差を見たときに、いつも考えてしまいます。
なぜなのだろう。
同じ教室で、同じ授業を受けて、同じ説明を聞いて、同じプリントをやっているはずなのに、どうしてここまで差が出るのだろう。
これは、単に「個人差がありますね」で終わらせていい話なのだろうか。
そんなことを考えました。
「教えたこと」と「できるようになったこと」は違います。
教師をしていると、ついこう考えてしまいます。
これは授業で言った。
これはプリントでもやった。
これはテスト前にも確認した。
だから、できるはずだ。
でも、実際にはそう簡単ではありません。
教師が教えたことと、子どもが分かったことは違います。
子どもが分かったことと、覚えていることも違います。
覚えていることと、テストで使えることも違います。
ここには、いくつもの段階があります。
授業で聞いた。
なんとなく分かった。
その場ではできた。
あとで思い出せた。
問題文を読んで、何を聞かれているか分かった。
正しい知識を取り出せた。
それを答案に書けた。
テストで点数を取るためには、実はここまで全部必要です。
教師から見ると、
「何回も言ったよね」
と思うことがあります。
でも、子ども側から見ると、
「聞いたけれど、使えるようにはなっていない」
ということがあるのだと思います。
聞いていない子もいます。でも、それだけではありません。
もちろん、聞いていない子もいます。
授業中にぼーっとしている子もいます。
話を聞いているように見えて、実は別のことを考えている子もいます。
プリントをやっているように見えて、ただ写しているだけの子もいます。
そこはあります。
でも、それだけでは説明できない気もしています。
真面目に聞いているように見える子でも、点数が伸びないことがあります。
授業中にうなずいていた子でも、テストになると書けないことがあります。
プレプリントではできていたのに、本番では間違えることもあります。
つまり、問題は「聞いているか、聞いていないか」だけではありません。
理解の深さ
記憶の残り方
問題文を読む力
言葉の意味をつかむ力
見直しの仕方
自分が分かっていないことに気づく力
そういうものが、全部関係しているのだと思います。
社会科は、覚えればいいようで、実はそうでもありません。
社会科は、暗記教科のように見えます。
大陸の名前
海洋の名前
世界の国々
位置
方位
地図の見方
たしかに、覚えなければならないことはあります。
でも、ただ言葉を覚えればいいわけではありません。
地図の中でどこにあるのか。
どの言葉とどの場所がつながっているのか。
問題文が何を聞いているのか。
似た言葉をどう区別するのか。
こういうことも必要です。
たとえば、授業中に、
「ユーラシア大陸」
と何度も言ったとしても、子どもの中ではただの音として残っていることがあります。
場所と結びついていない。
地図と結びついていない。
他の大陸との違いが分かっていない。
だから、テストになると選べない。
教師は「言った」と思っています。
でも、子どもの中では「使える知識」になっていない。
ここが難しいところです。
プレプリントをしても、安心とは限りません。
テスト前のプレプリントは大事です。
子どもたちにとっても、復習になります。
教師にとっても、どこが分かっていないかを見る材料になります。
でも、プレプリントをしたから大丈夫、とは限りません。
なぜなら、プリントをやる子どもの姿にも差があるからです。
自分で思い出しながら解く子。
教科書を見ながら確認する子。
友達の答えを見て写す子。
とりあえず空欄を埋める子。
丸つけで間違えたところを覚え直す子。
間違えたまま終わる子。
同じプリントをやっていても、そこで起きている学びはかなり違います。
教師から見ると、全員が同じプリントをやったように見えます。
でも、子ども一人ひとりの中で起きていることは違います。
ここを見ないといけないのだと思います。
「見直しなさい」だけでは、見直せない子もいます。
テスト直前に、
「ちゃんと見直ししてね」
と声をかけます。
でも、これも実は難しいです。
見直しの仕方を知っている子は、見直せます。
でも、見直しの仕方を知らない子は、何をしていいか分かりません。
ただプリントを眺めているだけ。
分かるところだけもう一度見ているだけ。
本当に怪しいところを避けているだけ。
そういうこともあります。
でも、子どもはそこまで自然にはできません。
「見直ししなさい」
と言うだけではなく、
「何をどう見直すのか」
まで教える必要があるのだと思います。
100点を取れないのは、子どもだけの問題ではありません。
点数が低い子を見ると、
「なんでできないのだろう」
と思います。
でも、そこで止まると、教師としては少しもったいないです。
子どもができなかったという事実はあります。
でも、それは同時に、
「自分の授業のどこが届いていなかったのか」
を見直す材料でもあります。
もちろん、授業が全部悪いわけではありません。
子どもの個人差もあります。
家庭学習の差もあります。
記憶の得意不得意もあります。
集中力の差もあります。
でも、それでも教師としては、
「もっと届かせる方法はなかったか」
と考えたいです。
図で示せたか。
声に出して確認できたか。
ペアで説明させたか。
白地図に何度も書かせたか。
間違えやすいところを先に見せたか。
小テストで途中確認できたか。
プレプリントの時点で、分かっていない子を拾えたか。
そういうことを考えたいです。
平均点は、授業への返事でもあります。
テストの平均点を見ると、少し落ち込みます。
思ったより取れていないと、
「あれだけやったのに」
と思います。
でも、テストは子どもを評価するものでもあり、授業への返事でもあるのだと思います。
子どもたちは、点数で返してくれています。
「ここは分かった」
「ここは分かっていなかった」
「これは覚えられた」
「これは使えるようになっていなかった」
そういう返事です。
その返事を見て、
「なんでできないの」
で終わらせるのではなく、
「では、次はどうするか」を考える。
それが教師の仕事なのだと思います。
みんな100点を取れたらいい。でも、そこまでの道は一人ずつ違います。
できれば、みんな100点を取ってほしいです。
これは本音です。
自分が教えた内容で、みんなが分かって、みんなができて、みんなが自信を持ってテストを終えられたら、それはすごくうれしいです。
でも、現実にはそう簡単ではありません。
一回聞けば分かる子がいます。
何回か練習すれば分かる子がいます。
図にしないと分からない子がいます。
声に出さないと覚えられない子がいます。
書かないと定着しない子がいます。
そもそも問題文の意味を読み取るところでつまずく子がいます。
同じ教室にいても、学びの入口は一人ずつ違います。
だから、全員を同じ道で100点に連れていくのは難しいです。
でも、だからこそ面白いのかもしれません。
どこでつまずいているのか。
何が抜けているのか。
どんな支援があればできるようになるのか。
それを探していくことが、授業づくりなのだと思います。
次にやってみたいこと。
今回のテスト結果を見て、次は少しやり方を変えてみたいと思いました。
まず、授業の途中で小さな確認を増やす。
一単元の最後にまとめて確認するのではなく、毎時間の終わりに短く確認する。
次に、地図と言葉を何度も結びつける。
言葉だけで覚えさせず、場所と一緒に覚える。
さらに、プレプリントをやるときに、
「ただ埋める時間」にしない。
間違えたところを赤で直すだけではなく、
「なぜ間違えたのか」
「どことどこを混同したのか」
「次に見るべき場所はどこか」まで確認させたいです。
そして、見直しの時間も、
「見直してね」だけで終わらせない。
「大陸名を全部指で追って確認する」
「海洋名と位置をペアで言う」
「似ている言葉を比べる」
「分からなかった問題に印をつける」
そういう具体的な見直しの仕方を教えたいです。
まとめ
社会のテストをして、思ったより点数が伸びませんでした。
授業で話した。
プリントもした。
直前にも確認した。
それでも、点数には大きな差が出ました。
その結果を見て、あらためて思いました。
「教えたこと」と「子どもが使えるようになったこと」は違います。
「聞いたこと」と「覚えたこと」も違います。
「分かったこと」と「テストで書けること」も違います。
だからこそ、教師はその間をつなぐ必要があります。
言葉を地図につなげる。
知識を問題につなげる。
分かったつもりを、本当に使える力につなげる。
そして、分かっていない子を、できるだけ取りこぼさないようにする。
みんな100点を取れたらいい。
でも、そのためには、ただ何度も言うだけでは足りないのだと思います。
子どもたちがどこでつまずいているのかを見て、そこに届くように授業を作り直していく。
テストの点数は、子どもからの返事です。
その返事を受け取って、また次の授業を考えていきたいです。










かめ先生、こんにちは。もう首がもげて取れそうなほど(笑)頷きながら読ませていただきました。なぜなら私も小学校教諭課程だったからです。こちらの期待と、実際の結果。その溝を埋めるために、あーでもないこーでもないと工夫する楽しさが教職の醍醐味ではないかとも思ってます。予測できないからこそ難しく、そして奥深い世界ですよね。微力ながら応援しております📣