チリメンナガクビガメという亀がいます。
オーストラリアやニューギニアの川や沼に暮らす亀です。
この亀を初めて見た人は、必ずと言っていいほど驚きます。
首が長いんです。
とにかく長い。
亀なのに、
まるでヘビのようです。
普通の亀は、
首をまっすぐ甲羅の中へ引っ込めます。
でも、
チリメンナガクビガメは違います。
首を横に折りたたむんです。
これは、
ヘビクビガメの仲間に共通する特徴です。
見た目だけでも十分不思議です。
でも、
もっと面白いことがあります。
この長い首には、
ちゃんと理由がありました。
獲物を捕まえるためです。
魚
オタマジャクシ
水生昆虫
水の中でじっと待つ。
そして、首をS字に曲げる。
次の瞬間、
バネのように首を伸ばす。
一気に飛びかかる。
魚が気づく前に、捕まえてしまいます。
さらに、
この長い首は呼吸にも役立ちます。
大きく浮上しなくてもいい。
首だけを伸ばして、
鼻先だけ水面に出す。
静かに息をする。
長い首は、
生きるための道具だったんです。
でも、話はここで終わりません。
実は、
この首は弱点でもあります。
首が長い。
だから、全部を甲羅の中へ隠しきれない。
普通の亀より、
守りにくい部分もあります。
つまり、完璧な武器ではなかった。
強みだけでもなかった。
弱さも抱えていたんです。
それでも、この亀は生き残ってきました。
なぜか。
その首が必要だったからです。
弱さよりも、
得られるものの方が大きかった。
自然は、そう判断したのでしょう。
僕らは、
自分の欠点ばかり見てしまいます。
考えすぎる
心配性
人見知り
繊細すぎる
周りと違う
すると、
それを消そうとする。
直そうとする。
でも、本当は分かりません。
その特徴は、
まだ使う場所が見つかっていないだけかもしれない。
まだ活かし方を知らないだけかもしれない。
チリメンナガクビガメの首は、
弱さも抱えていました。
でも、その弱さごと武器になった。
人間も同じなのかもしれません。
欠点が消えるわけではない。
苦手がなくなるわけでもない。
それでも、
その特徴が活きる場所はある。
弱さを抱えたまま、武器になることもある。
チリメンナガクビガメは、
そんなことを教えてくれる亀なのかもしれません。









