教室には、
いつも忘れ物をする子がいます。
体操服を忘れる
赤白帽を忘れる
宿題を忘れる
筆箱を忘れる
しかも、一回ではありません。
何度も。
最初の頃は、
「ちゃんと持ってきなさい」
と注意します。
でも、
教室で長く子どもを見ていると、
だんだん思うようになります。
これは、
性格だけの問題ではないのかもしれない。
朝から、もう余裕がない
そういう子って、
朝からバタバタしていることがあります。
起こしてもらえない
準備を見てもらえない
家の中が落ち着いていない
もちろん、
全部がそうではありません。
でも、
「生活が整っていない空気」
みたいなものは、
やっぱりあります。
ランドセルの中も、
ぐちゃぐちゃだったりする。
プリントが折れていたり、
何日も前のお便りが出てきたり。
子どもって、
生活がそのまま出るんですよね。
忘れ物が多い子は、よく怒られる
そして、
そういう子は、
だいたい怒られ慣れています。
「また?」
「なんで?」
「ちゃんとして」
何度も言われる。
だから、
だんだん反応が薄くなる。
謝る前に、固まる。
ああ、
また怒られるんだな、
という顔をする。
本当に必要なのは、「管理」なのか
もちろん、持ち物は大事です。
学校なので、
最低限必要なものはあります。
でも時々、
思うんですよね。
この子に今必要なのは、
「もっとちゃんとしなさい」
なのだろうかと。
むしろ、
一緒に確認する
整える方法を教える
忘れてもやり直せる空気を作る
そういうことのほうが、
必要な時もある。
子どもは、「できない」を隠す
これもあります。
忘れ物が多い子って、
だんだん誤魔化すようになる。
「家にあります」
「お母さんが……」
「持ってきたと思った」
嘘というより、
防御なんですよね。
怒られ続けると、
人は、
正直に言えなくなる。
これ、
大人も同じです。
ちゃんと見ている子もいる
でも、
教室って面白くて、
そういう子に、
そっと貸してあげる子がいます。
何も言わずに、
赤白帽を渡す子。
「一緒に探そう」
と言う子。
ぼくは、
ああいう優しさを見ると、
少し救われます。
最後に
いつも体操服や赤白帽を忘れる子。
もちろん、
忘れないに越したことはありません。
でも、
子どもの忘れ物って、
ただの「だらしなさ」だけではなく、
その子の生活や、
余裕のなさが見えてくることがあります。
だからぼくは、
注意しながらも、
「この子は、どんな朝を過ごしてきたんだろう」
と考えるようにしています。
教室には、
そういう小さなSOSが、
静かに落ちていることがあります。




