今日は、塾と学校の違いについて書いてみます。
これは、どちらが上かという話ではありません。
塾には塾のよさがあります。
学校には学校のよさがあります。
ただ、現場で子どもたちを見ていると、この二つを同じものとして考えてしまうと、少しもったいないなと思うことがあります。
塾は、先に進む場所です。
かなりざっくり言うと、塾は「やり方」を先に教えて、どんどん問題を解いていく場所です。(※復習を主にする塾もありますが)
公式を教える
解き方を教える
類題を解く
応用問題に進む
学校より先の内容を学ぶ。
これは、塾の大きな強みです。
特に、どんどん進みたい子には向いています。
理解が早い子
受験を意識している子
学校のペースでは物足りない子
そういう子にとって、塾はかなり有効な場所だと思います。
だから、塾に行くこと自体は全然いいと思っています。
先に学んでおくことで、学校の授業が分かりやすくなる子もいます。
自信につながる子もいます。
問題をたくさん解くことで、力がつく子もいます。
学校は、「なぜそうなるのか」を考える場所です。
一方で、学校の授業は少し違います。
学校では、公式を先に教えて終わりではありません。
なぜ、その公式になるのか。
なぜ、その考え方で解けるのか。
他の考え方はないのか。
友達はどう考えたのか。
自分の考えを、どう言葉にすれば伝わるのか。
そういうことを、みんなで考えます。
ここが、塾との大きな違いだと思っています。
たとえば、算数で公式を使えば、すぐに答えが出る問題があります。
塾で先に習っている子は、すぐに解けます。
それ自体はすばらしいです。
でも学校では、そこで終わりません。
「どうしてその式になるのか」
「その説明で、まだ分からない友達にも伝わるのか」
「図にするとどうなるのか」
「別の考え方でも同じ答えになるのか」
こういうところまで扱います。
答えを出すだけなら、速い子が勝ちます。
でも、学校で大事にしているのは、速く解くことだけではありません。
みんなで分かることです。
「塾でやったからつまらない」は少しもったいないです。
学校では、ときどきこういう子がいます。
「これ、塾でやった」
「もう分かる」
「簡単」
「学校の授業はつまらない」
気持ちは分かります。
先にやっている内容なら、そう感じることもあるでしょう。
でも、ここで終わってしまうのは、かなりもったいないです。
塾で先に解き方を知っているなら、次のステージに行けばいいです。
それは、
「どうやって友達に説明するか」です。
自分が解けることと、人に説明できることは違います。
自分が分かっていることと、みんなが分かるように伝えられることも違います。
ここに、学校の学びがあります。
早く解ける子は、学校の授業で退屈する必要はありません。
むしろ、先生側から見ると、そういう子には大事な役割があります。
自分の考えを言葉にすること。
友達の考えを聞くこと。
まだ分からない子に届く説明を考えること。
別の解き方を探すこと。
ここまでできると、その子の学びはかなり深くなります。
ある先生から聞いた話です。
以前、先輩の先生から聞いた話があります。
夜遅く、学校に残って仕事をしていたときのことです。
たしか、もう20時を過ぎていたと思います。
その先生が、ある子の話をしてくれました。
その子は、塾にも通っている頭のいい子だったそうです。
その子が、こんなことを言ったそうです。
「塾の勉強も好き」
「学校の勉強も好き」
その理由が、すごく印象に残っています。
塾では、どんどん公式を教えてくれる。
どんどん問題を解ける。
だから面白い。
でも、学校では、その公式がなぜそうなるのかを考えられる。
だから学校の勉強も面白い。
その話を聞いて、先輩の先生は「なるほど」と思ったそうです。
ぼくもその話を聞いて、すごく納得しました。
今でも覚えています。
塾のよさを分かっている子が、同時に学校のよさも分かっている。
これは、すごく大事な視点だと思います。
学校は、みんなで分かるクラスを作る場所です。
学校の授業は、一人だけが分かればいいわけではありません。
速い子だけが進めばいいわけでもありません。
もちろん、理解が早い子を退屈させない工夫は必要です。
そこは教師側の課題です。
でも、学校には学校の役割があります。
それは、誰か一人を置いていかないようにすることです。
友達の考えを聞く。
自分の考えを話す。
分からない子のつまずきを、みんなで見つける。
違う考え方に触れる。
説明し合う。
そうやって、クラス全体で分かっていく。
ここが学校の学びだと思います。
塾が「個人の力を伸ばす場所」だとすれば、学校は「集団の中で学びを作る場所」です。
ここはかなり違います。
塾に行かせてもいい。でも学校だけでもいい。
では、塾に行かせたほうがいいのか。
ここは、子どもによります。
塾が合う子は行けばいいです。
どんどん先に進みたい子。
受験を目指している子。
学校以外にも学ぶ場所がほしい子。
家庭ではなかなか勉強のリズムが作れない子。
そういう子には、塾はいい選択肢です。
一方で、学校だけでも十分に学力はついていくと思っています。
少なくとも、小学校段階では、学校の授業を大事にして、家庭ではゆっくり過ごすという選択も、かなりいいと思います。
家で本を読む。
親子で話す。
ご飯を食べながら、今日の出来事を話す。
外で遊ぶ。
好きなことに時間を使う。
そういう時間も、子どもにとっては大切な学びです。
勉強は、プリントや問題集だけではありません。
生活の中で考えること。
人と話すこと。
疑問を持つこと。
自分の好きなことを深めること。
これも全部、学びです。
大事なのは、役割を混ぜないことです。
塾と学校は、同じではありません。
塾は、解き方を身につけて、どんどん進める場所です。
学校は、なぜそうなるのかを考えて、みんなで分かる場所です。
塾で先にやった子は、学校で退屈するのではなく、説明する力を伸ばせばいいです。
学校だけで学ぶ子は、焦らず、学校の授業を大事にすればいいです。
どちらが正解という話ではありません。
子どもに合う学び方を選べばいいです。
ただ、学校の学びを「塾で先にやったから意味がない」と見てしまうのは、少し違うと思います。
学校には、学校でしかできない学びがあります。
友達の前で説明すること。
友達のつまずきを知ること。
みんなで一つの考えにたどり着くこと。
自分とは違う考え方に触れること。
それは、問題を速く解くだけでは得られない力です。
まとめます。
塾は、先に進む場所です。
学校は、深く考える場所です。
塾は、解き方を増やす場所です。
学校は、なぜそうなるのかをみんなで考える場所です。
塾は、個人の力を伸ばす場所です。
学校は、集団の中で学びを作る場所です。
だから、塾もいいです。
学校もいいです。
ただ、それぞれの役割は違います。
子どもたちには、その違いを知ったうえで、どちらの学びも大事にしてほしいと思っています。
そして、保護者の方には、塾に行かせるかどうかだけで悩むのではなく、その子にとってどんな学び方が合っているのかを見てほしいです。
学校だけでもいいです。
塾を使ってもいいです。
大事なのは、子どもが学びを嫌いにならないことです。
そして、「分かった」「説明できた」「友達と考えられた」という経験を、少しずつ積み重ねていくことだと思います。












かめ先生
投稿読んで子供の教育の仕方が間違ってなかっただろうか…と、過去を振り返る私。w
とっても学びになりました。
ありがとうございます。
「解ける」と「説明できる」は別物だ!!ですよね?!先生!!